年々、増え続けている美容室の店舗数ですが、美容業界の市場規模は伸び悩み、少子高齢化も進む今、限られた顧客を取り合う競争は激化していくとも言われています。
こうした時代だからこそ、新規顧客を獲得やリピート率を上げる方法に悩んでいる美容室関係者も多いのではないでしょうか。
この記事では、SNSを活用した美容室の集客について、実際の活用事例も含めて詳しくご紹介します。
目次
美容室への集客における現状の課題

美容室への客足を伸ばす上で、その妨げとなっている課題がいくつかあります。
顧客離れ
老舗美容室をはじめ、常連顧客の年齢層が上がっているケースが見られます。
あるデータで年間の美容室利用は、60代が10~20代の約2倍とも言われ、シニア顧客の存在はありがたいものです。
一方で、若者客の常連化はハードルが高く、新たに顧客を獲得したいと思ってもアプローチ方法が分からず、課題だと感じる声も多く聞かれます。
美容室側が最新トレンドに適応して、顧客を飽きさせないなど、新規獲得のみならず顧客離れへの対策も問われています。
インターネットの影響
ネットが普及したことで、情報をいつでも手軽に検索し、たくさんの選択肢を比較検討できる時代になりました。
特に、美容室選びでは、ネット上の口コミや情報が重要視されており、それらに基づいて来店を考えるという人が、若者を中心に増えています。
そのため、自社を知ってもらい、来店のきっかけを作るには、ネットをうまく活用してブログやSNSなどで主体的に情報発信していく必要があります。
競争の激化
美容室は昔から存在しているサービスであり、市場は既に成熟しています。
多くの美容室が存在する中で、顧客側に選択肢が増えたことで、他店より少しでも集客を増やそうと、価格を下げることで対抗する価格競争が激化しています。
また、近年では美容室を開業するためのハードルが低くなってきているため、新規参入者が増加し、市場に参入する美容室が多くなっている背景もあり、競合他社との競争はさらに激しくなっていくことが見込まれます。
現状の課題に対応した、SNSを活用した集客方法

ここからは、前述したような課題を解決するための、SNSでの集客方法をご紹介します。
SNSアカウントの運用
まず挙げられるのは、自社SNSアカウントの運用によるネット集客です。
アプリをダウンロードして無料のアカウントを開設するだけで、幅広く情報発信ができる手軽さがメリットです。
さらに、雑誌やチラシとは違い、拡散機能を通じて今まで接点のなかった新規層への広いアプローチが可能になります。
フォロワーが増えれば、より多くの潜在顧客へ定期的な情報発信を行えることになるので、運用を開始したら、まずはユーザーが興味を持ちそうな投稿内容を積極的に発信して、フォロワー獲得に臨みましょう。
インフルエンサーとのコラボ
新規顧客獲得のためにインフルエンサーを活用する方法もあります。
彼らとコラボして投稿を配信し、インフルエンサーの知名度を借りて新規層の認知アップを図ります。
インフルエンサーによってはカットやカラーを無料で行う代わりに、費用なしでコラボをしてくれるケースもありますので、予算に応じて事前にインフルエンサーとどういったコラボをしたいかを明確にしておきましょう。
また、近年では美容師自身がインフルエンサーとなるケースも多く見られます。
美容師個人のアカウントで情報発信することで、SNS上でそれを閲覧した顧客が美容師を指名し、結果として集客が増えていくことに繋がります。
SNS上での広告配信
SNSでの広告配信も、集客の一つの方法です。
年代や地域で絞ったターゲット層に向けて、自社広告をSNS上で配信できます。
広告の内容としては、自社の売りを上手く伝えられるような配信内容を検討するほか、リアクションの良かった既存投稿を広告に活用することも考えられます。
ターゲットボリュームや配信期間によって、相応の広告費用がかかるため、できれば専任の担当者を置いて効果を測定しながら調整する方法が良いでしょう。
自社SNSアカウントへの誘導も期待できるので、まずはアカウント運用を開始し、ある程度投稿コンテンツが集まってきてから広告配信を検討するのがおすすめです。
SNS上でのキャンペーンの実施
SNSアカウントの運用が進み、フォロワーがある程度増えてきたら、SNS上でのキャンペーンを検討してみるのも良いでしょう。
美容室のアカウント投稿を見た人や、タグ付け投稿してくれた人、SNSアカウントをフォローした人、など様々な条件で、プレゼント内容も商品から割引まで、多様なキャンペーンが考えられます。
キャンペーンを定期的に行うことで、フォロワーをキープするための施策として活用することもできますし、プレゼント内容が魅力的であれば、新規顧客やリピーター獲得が期待できるでしょう。
美容室への集客で最も活用されるSNSとは?

SNSで美容室を探すことが一般的になった今だからこそ、美容室集客に活用したい主なSNSプラットフォームをご紹介します。
画像や動画、ビジュアルで配信できるInstagramは美容室のSNS運営にぴったりのプラットフォームです。
幅広い年齢層のユーザーがいるため、新規リーチが期待できます。
ヘアスタイルはもちろん、ヘアアレンジ方法や豆知識など、人気なものからアイデアのヒントを得るのがおすすめです。
ヘアスタイルを検索するユーザーも多いので、投稿には必ず複数のハッシュタグを入れて検索にヒットするようにしましょう。
一方で、Instagramを既に活用している美容室が多い点がデメリットで、差別化のためにオリジナリティのあるアイデアが求められます。
Twitterの日本におけるユーザー数はLINEとYouTubeに次いで多く、中心ユーザーは20代です。基本は文字中心のプラットフォームのため、画像と合わせて配信する文字による情報が重要視されます。
リンクを貼れるので、ホームページや予約サイトに誘導するのも良いでしょう。
Twitterは拡散力が高く、一度バズれば認知度アップが期待できますが、炎上してしまう可能性もあることは注意が必要です。
また、企業アカウントはフォロワー数が伸びづらい傾向にあることも知っておきましょう。
TikTok
ショート動画を主とするSNSのTikTokは、日本のユーザーの950万人のうち半数以上を10~20代が占めています。
投稿したコンテンツはフォロワー外にも表示される仕組みで、アップするだけで少なくとも100人程のユーザーの目に触れます。
拡散力も高いので、新規若年層への認知度アップが期待できます。
また、アプリの機能だけで簡単に動画編集できる点でも人気です。
美容室関係ではビフォー・アフター動画が人気で、高い技術でキレイに変身した施術後の様子を発信すると、好リアクションに繋がりやすいです。
ただし、コメント欄が荒れやすいことや、ビジネスに直結する成果よりも認知拡大に向いているという点は知っておきましょう。
【新規顧客向け】SNSを活用して集客を行った美容室の事例4選

これまでに紹介したSNSを上手く利用し、新規顧客の獲得に成功した事例をご紹介します。
Oceans Tokyo
OCEAN TOKYOは、メディアにも取り上げられる人気メンズサロンです。
Instagramも、ハイクオリティながら親しみが持てる投稿で人気を集めています。
ヘア投稿に担当スタイリストを一緒に載せており、新規客でも好みの美容師を探しやすいでしょう。ヘアセットの作り方など、投稿アイデアも豊富です。
代表の三科さんはTwitterも積極的に活用しているほか、YouTuberのみっき~さん等インフルエンサーコラボも行い、多角的に認知拡大に繋げています。
ALBUM
低価格に見合わないクオリティの高さで絶大な人気の美容室ALBUMは、Instagramでも45.3万人のフォロワー数を誇ります。
ヘアスタイル相談から施術後までを追ったカウンセリング動画が人気で、来店したくなるような共感を生む投稿作りがポイントです。
ホットペッパービューティーの受賞を記念したInstagramライブでは、割引クーポンも配信していました。
TikTokも運用し、ヘアアレンジのプロセスを見せる動画が人気を呼んでいます。
SHIMA
美容室SHIMAのInstagramは、ヘアスタイルと自社プロダクトの投稿が中心です。
タイムラインは統一した世界観で整えられ、センスとこだわりが伺えます。
ヘアスタイル投稿には顧客であろう藤田ニコルさんや弘中綾香さんといった著名人も登場しており、「この人と同じ美容室に行きたい」と思わせることが、新規顧客へのアプローチにも繋がっていると言えます。
aid美容室
aid美容室代表の比見幸平さんは、TikTokで13万フォロワー、500万超えいいねを誇る人気アカウントを運用しています。
「人生を少し変える」ことをコンセプトに、顧客の雰囲気をガラッと変えるビフォー・アフター動画に特化しています。
幅広い層の顧客を登場させることで、親近感を持たせるのもポイントであり、「自分もこんな風に変わりたい」と潜在顧客の背中を押すことで集客しています。
【リピート顧客向け】SNSを活用して集客を行った美容室の事例4選

次に、新規顧客ではなく、何度もお店に足を運んでくれるリピート顧客の獲得に成功している美容室のSNS事例を4つご紹介します。
Rula
おしゃれなライフスタイルを発信してInstagramで人気を誇るRumiさんが独立し、経営している福岡のRulaは、数か月先まで予約で埋まる人気店です。
自身のファッションやメイクなど、ヘア以外もセンスにあふれた投稿を発信し、自らがインフルエンサーとなってフォロワーを魅了しています。
投稿を通じてフォロワーを自分のファンにすることが、最も効果的なリピーター施策の実現に繋がっているのです
Kyogoku Professional
独自のカラーメソッドで、海外にも店舗を持つKyogoku ProfessionalのInstagramですが、カラーに特化した動画配信に加え、毎月のキャンペーンも特徴です。
アカウントをフォローして該当投稿にいいねした人の中から抽選で商品をプレゼントするという内容のキャンペーンもあり、ワンクリックで毎月参加できるため、フォローする顧客も多いことが考えられます。
また、キャンペーン期間中であっても、頻度の高い動画投稿でサロンの魅力を発信しており、このキャンペーンで注意を引き、その際に再来店したくなるようなコンテンツを配信することがリピーター獲得に繋がっていると言えます。
いつき(Sand Osaka)
Sand Osakaの美容師であるいつきさんは、ショートカットに特化したInstagram配信で話題を生み、1か月でフォロワーが9万人も増加しました。
多彩なショートスタイル動画はTikTokでもアップしており、文字入り投稿を上手く使って目を引きやすくすることで、見やすい短尺の動画編集を実現しています。
補足テキストでは、ユーザーの悩みに寄り添っていて、この顧客の悩みに真摯に向き合う姿勢がイメージアップに繋がり、80%という驚異のリピート率に繋がっているのかもしれません。
Bettie
原宿のサロンBettieは、Instagramのほか、Twitterでの配信も行っています。
独自のスタイル提案を売りにし、投稿も世界観を統一することで、オリジナリティを創出しています。
Instagramではヘアスタイル、Twitterではカラー別ヘア特集や営業スケジュールなど、違った角度の投稿内容で差別化しているほか、きゃりーぱみゅぱみゅさんやPecoさんなど常連著名人の写真も掲載されています。
競合が多く存在する中で、自店にしかないオリジナリティを生み出すことで、「この店はこういうコンセプト」というブランドイメージを植えつけることができ、結果としてリピート顧客の獲得に繋がっていると推察されます。
SNSを活用して美容室へ集客を行う際のポイント

最後に、SNSを活用した美容室集客において大切なポイントを4点解説します。
ターゲットを絞る
まず大切なのは、来店してほしい顧客ターゲットを絞ることです。
自社の強みや提案したいスタイル、立地条件などをふまえてターゲットを明確にしましょう。
ターゲット像が鮮明であるほど、コンテンツの方向性も定まりやすく、リーチも獲得しやすくなっていきます。
明確なターゲットに対してのコンテンツ配信ができれば、新規顧客獲得のみならず、顧客のリピーター化にも繋がります。
コンテンツの質にこだわる
投稿コンテンツの質も重要なポイントです。
競合他社との差別化を図るために、写真や動画のクオリティはもちろん、伝える内容や伝わりやすさにもこだわりましょう。
ヘアアレンジの細かいポイントなど、ユーザーのためになる情報は、興味を引きやすくおすすめです。
最初は他店の人気投稿を参考にしながらアイデアを出し、フォロワーからの反応が良い内容を深堀して配信していくのがおすすめです。
定期的に投稿する
アカウントをスタートさせたら、投稿の頻度にも気を付けましょう。
更新がないと、ユーザーはすぐ興味関心を失ってしまうためです。
開始後は特に、フォロワー数を伸ばす必要があるので、できる限り毎日投稿することが望ましいです。
また、投稿時間帯にもこだわりましょう。ターゲット層が見ている時間帯に向けると閲覧数を増やせることが期待できます。
フォロワーとのコミュニケーションを大切にする
フォロワーは既存顧客や潜在顧客にあたるので、いかにコミュニケーションをとるかも大切です。
SNSで受けたコミュニケーションの印象は美容室での接客に通ずると捉えられるので、届いたコメントやメッセージには、丁寧に返信しましょう。
また、アイコンコメントを求めたり、ストーリーズでアンケートを実施したりと、ユーザーがワンクリックで参加できるようなリアクション促進もおすすめです。
【まとめ】美容室の集客について

今回は、美容室の集客についての現状や、SNSでどのように解決できるかを中心にご紹介しました。
無料で始められるSNS運用は更新の労力はかかるものの、現代のニーズに合った、効果を生みやすい集客方法です。
既に多くのサロンが、SNS活用で集客の課題を解決しています。成功事例のアイデアを参考に、SNS運用に取り組んでみましょう。
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