IT導入補助金を使用してECサイトを構築する方法とは?IT導入補助金の申請の仕方から解説

今日のデジタル時代において、企業が競争力を保つためには、テクノロジーの力を借りることが不可欠です。とりわけ、オンラインマーケットプレイスは顧客との接点を増やし、事業を拡大する重要な手段となっています。しかし、ECサイトの開設と運営は資金と技術的な知識を必要とします。

ここで、IT導入補助金が重要な役割を果たします。この補助金は、IT機器やソフトウェアを導入する際にその経費を軽減するための政府からの補助制度です。ECサイトを立ち上げる際には、この補助金を有効に利用することで、初期投資を大幅に削減することが可能となります。

この記事では、IT導入補助金の申請方法や注意点をご紹介します。これからECサイトを立ち上げる予定のある企業の皆様、または既に運営している企業の皆様にも、この補助金の活用は大きな助けとなるでしょう。

IT導入補助金とは?

IT導入補助金は、中小企業や個人事業主が自社の課題やニーズに合った情報処理システムなどのITツールを導入する際の費用を補助する制度です。IT導入補助金には、通常枠と低感染リスク型ビジネス枠の2つがあります。通常枠では、自社の状況を分析し、経営課題や需要に合ったITツールを導入して業務効率化を図ることが目的です。

その他にも、セキュリティ対策推進枠、デジタル化基盤導入枠、および複数社連携IT導入型があり、PCやレジ、連携ツール、ハードウェアの導入にも補助金を利用することができます。

IT導入補助金の金額について

IT導入補助金には、金額の下限と上限が設定されています。通常枠ではA型とB型の2つがあり、A型の場合は5万円から150万円未満まで、B型は150万円から450万円以下までの補助が可能です。補助率はどちらも最大で50%までとなっているため、通常枠では条件を満たせば最大50%までの補助を受けることができます。

セキュリティ対策推進枠では、サイバー攻撃を防ぐためのリスク低減を目的としてITツールの導入を補助しています。補助額は約5万円から100万円程度です。また、デジタル化基盤導入枠では、単独事業者がPCやレジなどのITツールを導入する際に補助金を利用できます。補助額の上限は350万円で、下限は設定されていません。補助率は機能要件により50%から75%までとなっています。

複数社連携IT導入型では、複数の中小企業や小規模事業者が連携してITツールやハードウェアの導入に利用できます。補助上限は3000万円で、補助率は66%から75%までです。それぞれの補助金制度は導入する対象や条件によって異なるため、自治体に問い合わせることをおすすめします。

補助金の申請条件

補助金を申請する場合は、申請条件を事前に確認することが重要です。補助金の申請対象となるのは、以下の中小企業の一部です。

  • 飲食、宿泊、小売、運輸業
  • 医療、介護
  • 保育、サービス業
  • 製造業
  • 建設業

また、資本額や従業員数などにも指定がありますので、それぞれの基準値を満たしている必要があります。たとえば、製造業、建設業、運輸業の場合、資本金は3億円以下で従業員数は300人以下となります。具体的な申請条件は、補助金の公式サイトを参照して業種ごとに確認することができます。

また、補助金の応募期限は1次応募、2次応募、3次応募などに分かれており、申請する補助金の種類によって異なります。それぞれの期限は公式サイトで確認できますので、必ず確認してください。補助金の条件に該当する場合は、申請手続きの準備を開始するようにしましょう。

ECサイト構築にIT導入補助金が活用できる理由

IT導入補助金は、ECサイトの構築にも利用することができます。ECサイトの構築はデジタル化基盤導入の一環とされているため、その費用を補助金でカバーすることができます。条件を満たせば、政府から導入費用の一部を補助してもらうことができます。これにより、ECサイトによる売上増加や事業の拡大に活用することができます。

ただし、複数のIT導入要件を満たす場合には、補助金の額がより大きくなります。そのため、個別での申請はできず、デジタル化基盤導入に関する申請を行う必要があります。ECサイトの構築に補助金を活用したい場合は、デジタル化基盤導入の申請を検討しましょう。

ECサイトの構築に使用できるIT導入補助金の申請方法

ECサイト構築のためにIT導入補助金を申請する場合、どのように申請手続きを行うかを把握しておくことが重要です。以下にECサイト構築の補助金申請方法の流れを紹介します。

ECサイトの構築

まず、補助金を申請するためにはECサイトを構築する必要があります。補助金の申請は、IT導入の対象となるシステム導入や構築が契約前に行われている場合にのみ有効です。審査前のプロジェクトに対しては補助金は適用されないため、注意が必要です。

また、ECサイト構築に関して申請できるのは、デジタル化基盤導入枠に該当します。申請条件としては以下の要件があります。

  • 登録されたIT導入支援事業者に相談し、ITツールを選定する
  • ECサイトの構築の場合、ASPカートを利用して新規にサイトを作成する
  • モール型ECサイトに出店する場合、新規出店と同時にサイト制作を行います

これらの条件を確認し、ECサイト構築のために必要な申請準備を整えましょう。また、ITツールの導入業者との打ち合わせも行う必要があります。

申請書類の準備

ECサイト構築のために補助金を申請する際には、必要な書類の準備が必要です。以下に必要な書類を紹介します。

gBizIDプライムの取得

まず、IT導入補助金の申請にはgBizIDプライムの取得が必要です。補助金申請は専用のポータルサイトを利用するため、ログインIDとしてgBizIDプライムが必要となります。取得には1〜2週間要する場合があり、印鑑証明書も必要となります。申請計画がある段階で早めに取得するようにしましょう。

「SECURITY ACTIONの自己宣言を行う

次に、「SECURITY ACTIONの自己宣言」も必要です。これは情報セキュリティ対策に取り組むことを自己宣言するものであり、申請の際に完了しておく必要があります。手続きはアカウントの作成と申請の完了によって行うことができます。申請が完了し次第、自己宣言のロゴマークをダウンロードすることが可能です。

これらの申請手続きを順番に進めることで、補助金の申請が可能となります。手続き自体は難しくありませんが、1〜2週間要することも考慮して、早めに取り掛かるようにしましょう。

必要書類の準備

補助金の申請には、必要な書類の準備が必要です。法人の場合は、履歴事項全部証明書(申請日から3ヶ月以内)と直近の法人税納税証明書が必要です。個人事業主の場合は、確定申告書Bの写し、所得納税証明書、運転免許証または住民票の3点が必要です。それぞれの書類を準備して申請することができますので、忘れずに用意しましょう。

審査の受付と審査

申請書類を準備できたら、それを提出して審査を受けることになります。審査はIT導入支援事業者と協力して進められるため、コミュニケーションを取りながら必要な情報を提供していきましょう。審査には時間がかかる場合があるため、ECサイト構築のスケジュールに合わせて提出するようにしましょう。また、審査の過程で書類に不備がある場合は、修正して再提出する必要があります。

指摘を受けた場合には再度時間がかかることになるため、提出前に補助金を利用した事業計画や設計に不備がないかを確認することも重要です。

補助金の受け取り

審査を通過すると、補助金を受け取ることができます。補助金の額は最大で350万円まで受け取ることができますが、具体的な金額は導入するツールなどによって異なります。しかし、補助金を受け取って終わりではありません。

補助金の受け取りには事業実施の効果報告が期限内に提出される必要がありますので、実際に得られた成果を分析して報告書を作成することが重要です。ITツール支援事業者と協力して報告書を作成し、提出期限を守るようにしましょう。

以上が、ECサイト構築におけるIT導入補助金の申請方法についての流れです。これらの手続きを正確に行い、補助金を利用して効果的なECサイトの構築を目指しましょう。

IT導入補助金申請時の注意点

IT導入補助金を申請する際には、いくつかの注意点を把握しておく必要があります。これらのポイントに注意することで、スムーズな申請手続きを行うことができます。以下に注意点をまとめました。

補助金の利用制限

IT導入補助金をECサイトで利用する場合、特定の条件がありますので、該当するかどうかを確認する必要があります。まず、ECサイトの構築にはIT導入支援事業者との協力が前提となります。登録されていない支援事業者によるECサイトの制作は補助金の対象外となります。

したがって、ECサイトを制作する際に利用可能な事業者を確認し、条件に合致しているかを確認する必要があります。例えば、Shopifyやカラーミーショップなどが登録されている事業者の一部です。

また、ECサイトのリニューアルやスクラッチ開発は補助金の対象外です。既存のECサイトのデザインを単純に更新するだけや、電子決済機能を追加するだけのリニューアルも対象外です。

さらに、ASPなどを使用せずにゼロベースで新たに開発するECサイトも申請が認められません。ただし、スクラッチ開発に関してはインボイス制度の条件により、2023年の秋に該当する可能性があります。

したがって、補助金を受け取るためには以下の点を押さえておく必要があります。

  • 登録されている支援事業者を利用すること
  • 新たにECサイトを構築すること

補助金の返済義務

ECサイトの構築にIT導入補助金を利用する場合でも、審査に通過した後は、使用方法によって返済義務が生じる場合もあります。例えば、以下のようなケースです。

  • 補助金を当初の目的と異なる用途に使用する場合
  • 補助金で得た資金を許可なく他の目的に転用する場合
  • 補助金を受取った後に事情が変わり、ECサイトの構築ができなくなった場合

補助金は目的や事業計画に基づいて審査され、支給される資金です。したがって、補助金を当初の目的とは異なる用途に使用した場合は返済が求められます。IT導入補助金を受け取った後の1年以内には、成果を報告する書類を作成する必要があります。

また、監査が入る可能性もあるため、使用目的が変更されていることが明らかになることもあります。さらに、補助金を利用してECサイトを構築した場合でも、他者への譲渡や貸し付けなどが行われると、目的が達成されなかったとみなされ、返還を求められることもあります。

ECサイトの構築が計画通りに進まなくなった場合も、目的と異なるために返済要求が発生する可能性があります。以上のように、使用方法によっては返済義務が生じることに注意してください。

申請書類の提出期限

IT導入補助金の申請には提出期限がありますので、予めスケジュールを立てておく必要があります。ECサイトの場合、デジタル基盤導入の範疇に含まれ、最大で3回の申請を行うことができます。2023年の締切日は6月2日であり、2次の場合は6月21日が交付決定日となり、3次の場合は7月11日です。

締切日を過ぎると補助金の申請ができなくなるため、早めにスケジュールを立てて計画を実行に移すべきです。ECサイトの構築には、課題の確認から支援事業者の選定、各種手続きが必要となるため、今年中に申請したい場合は、早急に計画を立ててください。

ECサイト構築によるIT導入補助金の活用事例を紹介

ECサイトを構築する際にIT導入補助金を活用する企業の事例を紹介します。これらの事例は、補助金を利用して課題解決や目標達成を果たした事業者の例です。以下にいくつかの事例をご紹介します。

大友産業株式会社

引用:http://www.otomosangyo.co.jp

引用:http://www.otomosangyo.co.jp

大友産業株式会社は、主に出汁を中心にした食品通販事業を展開しています。同社は、定期通販特化型のカートシステムを導入するために補助金を活用しました。大友産業株式会社は、2013年に「和食」がユネスコ無形文化遺産に登録されたことにより、市場の競争が激化し、受注が減少していました。また、リピーターの獲得も難しいという経営課題を抱えていました。

そこで、定期便に特化したカートシステムの導入を検討し、受注率の回復とリピーターの獲得改善を目指しました。結果的に、入力ミスや回収できないケースが大幅に減少し、作業時間も削減されました。また、顧客の利便性も向上し、リピーターの増加にもつながりました。さらに、ECサイトに新たな機能を追加することで成果を上げることにも成功しました。

株式会社グラシアス

引用:https://www.gracias-2013.com

株式会社グラシアスは、業務用食材や厨房機器の対面卸売業を行っています。同社は主にレジャー施設にある飲食店を対象に食材や厨房機器の卸売りを行っていましたが、新型コロナウイルスの影響でレジャー施設への来客が減少し、卸売業の売上も大幅に低下しました。

この状況を打開するため、ECサイトへの参入を検討しましたが、ECサイトの構築に関するノウハウが不足していました。そのため、補助金の申請を行い、自社のECサイトをゼロから立ち上げる計画を立てました。

ショッピングカートの追加や楽天、Amazon、Yahoo!ショッピングへの出品、専門家のサポートなどを活用し、ECサイトを構築することに成功しました。結果として、ECサイトを構築して1年間で月商400万円を達成することができました。さらに、従業員のモチベーション向上と売上の改善も実現しました。

市原ファーム

引用:https://iwamigamo.com

市原ファームは、食肉加工や販売を手がける農業法人であり、全国各地の特産品を取り扱うECサイトを立ち上げ、新たな顧客獲得を目指しました。そのため、補助金制度を活用してご当地特化型ECサイトの構築を行いました。また、地方新聞への広告掲載も行い、全国的なPR活動を実施しました。

結果として、ECサイトの構築と地方新聞の広告掲載により、サイトへのアクセス数が増加し、マーケティング分析の効率化も実現しました。

【まとめ】IT導入補助金を活用してECサイトを構築しよう

IT導入補助金は、ECサイトの構築においても活用することができます。ECサイトを構築する際に補助金を申請する場合は、新規構築の場合や指定されている支援事業者を利用する必要がありますので、条件を確認した上で計画を立てることが重要です。多くの事業所や企業がECサイト構築に補助金を活用しているため、課題の解決や業務効率の向上を図るために積極的に検討する価値があります。ぜひ、利用を検討してみてください。

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