近年、ビジネスにおいてもECの利用が一般的になり、BtoB EC市場も急速に拡大しています。
この記事では、BtoB ECを活用するメリットやデメリット、注意点について解説した上で、成功するためのポイントを紹介します。また、BtoB ECサイトの事例や今後の展望についても取り上げます。
BtoB ECに興味のある方や、ECサイトを検討している企業の方にとって、参考になる内容となっていますので、最後までご一読ください。
目次
そもそも「BtoB EC」とは？
BtoB ECは、企業同士が電子商取引（EC）を行うことを指します。
つまり、企業が製品やサービスを提供する側と、それを受け取る側として、インターネットや電子メールなどの電子的手段を利用して取引を行うことを意味します。
BtoB ECは近年注目を集めており、その背景として挙げられるのが新型コロナウイルス蔓延による影響です。
パンデミックを受け、オンラインでのビジネスが急速に増加し、多くの企業がリモートワークや在宅勤務を導入したことで、オンラインでの取引が必要不可欠となりました。
そのため、BtoB ECを活用する企業が増加し、注目を集めるようになったのです。
BtoB ECを活用するメリット・デメリット
メリット
BtoB EC（Business-to-Business Electronic Commerce）を活用することには、多くのメリットがあります。
まず、BtoB ECはビジネスプロセスを自動化し、効率化することができます。注文、請求、支払いなどを電子化することで、時間と手間を削減し、コストを削減できます。
また、人が行うことによって発生する誤りや間違いを減らすことができ、正確性が向上します。
さらに、BtoB ECは取引を迅速かつ正確に処理することができるため、顧客との関係を向上させることができます。特に、納期の遵守や品質の向上といった点が、顧客満足度の向上につながります。
その他にも、BtoB ECを活用することにより、取引に必要な情報がオンラインで共有されるため、企業はリアルタイムで取引の状況を把握することができます。
これにより、生産性や効率性を向上させ、戦略的な意思決定をリアルタイムな情報を基に正確に行うことができます。
最後に、BtoB ECは、遠隔地にいる企業との取引を行うことができるため、国を跨いだビジネスにも適しています。
国際取引においては、通信や物流の問題が発生することがありますが、BtoB ECを利用することで、これらの問題を避けることが可能になるのです。
デメリット
BtoB ECを活用するデメリットはいくつかあります。
例えば、
BtoB ECを利用する場合、顧客との直接的な対面やコミュニケーションが減少するため、顧客との人的な関係が希薄化する可能性があります。
そのため、顧客のニーズや要望に対して適切に対応することが難しくなる可能性があります。
また、BtoB ECを活用するためには、システムの導入や運用にかかるコストが高くなることも挙げられます。システムの改修や更新にも対応する必要があり、そのためのコストもかかることがあります。
他にも、BtoB ECを活用する場合、重要な情報や取引がオンライン上で行われるため、セキュリティ上のリスクがあることがあります。
そのため、ハッキングや不正アクセスなどの攻撃に対して適切な対策を行う必要が生じるのです。
BtoB EC市場における規模の拡大
BtoB EC市場は、近年急速に拡大しています。
その背景には、コスト削減の必要性が増大していることや、業務プロセスの合理化・省力化の需要があること、オンライン化の進展やグローバル化の加速などが挙げられます。
また、デジタル技術の進歩により、取引の自動化やデータの可視化が容易になり、BtoB EC市場の拡大が促進されています。
さらに、先述の通り、新型コロナウイルスの影響でオンライン取引が注目され、BtoB EC市場の成長が加速しました。
BtoB EC市場の今後の展望
BtoB EC市場の今後の展望については、さらなる拡大が予想されています。
企業は、業務プロセスの合理化や省力化を求め、BtoB ECを利用することで、コスト削減や効率化を図ることができますし、人工知能やIoTなどの技術の進歩により、BtoB EC市場はさらなる発展が期待されるでしょう。
こうした技術を活用することで、取引の自動化やデータの解析が可能となり、業務の合理化や効率化を促進することができます。
BtoB EC市場は今後も成長が続くことが予想され、グローバル展開や新たなビジネスモデルの創出など、さまざまな可能性が見込まれているのです。
BtoB ECの種類
BtoB ECの種類のうち、マーケットプレイス型、EDI型、ショッピングカート型について詳しく説明します。
マーケットプレイス型
マーケットプレイス型BtoB ECとは、多数の業者が出店し、商品を出品する方式です。
業者は自社の商品を出品するため、マーケットプレイス内の取扱商品が多岐にわたります。企業は、マーケットプレイス内の商品を検索して購入することができます。
この方式は、企業が必要とする多様な商品を一箇所で購入できるため、非常に便利です。マーケットプレイス内の出品業者数が多いほど、商品ラインナップが充実し、競争が激化するため、価格競争が起こりやすくなります。
また、マーケットプレイス型BtoB ECは、業者にとってもメリットがあり、自社の商品を多くの企業にアピールできるため、販売拡大につながることが期待できます。
さらに、マーケットプレイス側が提供する広告やプロモーションなどの支援も受けられるため、業者にとっては非常に魅力的な販路となります。
代表的なマーケットプレイス型BtoB ECには、アマゾン・ビジネスや楽天ビジネスなどがあります。
このような大手プラットフォームに出店することで、多くの企業に商品をアピールすることができる一方で、出品業者数が多く競争が激しいため、自社の商品を差別化するための工夫が必要です。
EDI型
EDI型BtoB ECは、企業間でデータをやり取りするためのシステムです。
EDIは、専用の通信回線を使用するため、高いセキュリティと信頼性があるほか、注文書や請求書などのビジネス文書を電子的にやり取りすることができ、現代のビジネスに欠かせないツールとなっています。
EDIの導入により、業務の効率化やコスト削減が図れるほか、ビジネスパートナーとのコミュニケーションや取引プロセスを改善することができることからも、EDIの利用は、ビジネスプロセスの自動化や効率化に大きく貢献するとともに、ビジネスの成長を促進することに繋がります。
ショッピングカート型
ショッピングカート型BtoB ECは、インターネット上で商品を選択してカートに入れ、注文を行う方式です。
この方式は、BtoC ECでも使用されていますが、BtoB ECでもよく利用されています。
ショッピングカート型BtoB ECでは、一度に多くの商品を注文することができるため、大量の商品を購入する必要がある企業にとって非常に便利です。
さらに、専用のIDやパスワードを用いてログインすることで、安全性が確保され、しかも簡単な手続きで注文ができるため、この方式は小規模な企業や個人事業主に好まれる傾向があります。
BtoB ECとBtoC ECはどう違う？
先述の通り、BtoB ECは、企業間で取引を行う電子商取引のことを指す一方で、BtoC ECは、企業と一般消費者の間で取引を行う電子商取引のことを指します。
つまり、商品を消費者に提供することを目的としています。
例えば、通販サイトで洋服や家電製品を販売するといった取引が挙げられます。
また、BtoB ECは、個人消費者に比べて業者と企業間で大量の商品を取引することが多い一方、BtoC ECは、個人消費者に向けた少量多品種の商品を取り扱うことが多いという特徴が挙げられます。
BtoB ECの構築方法とポイント
自社でECサイトを構築する場合
プラットフォーム選定
自社でBtoB ECサイトを構築する場合、ECサイト構築用のプラットフォームを選定する必要があります。
代表的なプラットフォームには、Shopify、WooCommerceなどがあり、自社のニーズに合ったプラットフォームを選択することが大切です。
サイト設計とUI/UX設計
サイト設計とUI/UX設計は、自社でECサイトを構築する場合の非常に重要なポイントです。
サイト設計では、サイトのコンセプトや訴求力、商品カテゴリーの設定などを考えます。
UI/UX設計では、ユーザーの操作性や利便性を考慮したサイト構造、レイアウト、カラー、ボタンの配置、テキスト表示などを設計します。
商品データの登録
ECサイトを構築する際には、商品データの登録が必要になります。
商品の種類や価格、在庫数、商品画像、商品説明などを登録し、ECサイト上に反映させます。
決済・配送手段の選定
ECサイトでの決済手段や配送方法の選定も重要です。
決済手段としては、クレジットカード決済や銀行振り込みなどがあり、配送方法としては、宅配便やメール便などがあります。
自社の商品に合わせた適切な決済手段や配送方法を選択することが大切です。
既存のマーケットプレイスに出店する場合
出店先のBtoB ECサイトの選定
まずは、自社の商品に合ったBtoB ECサイトを選定します。
出店先のBtoB ECサイトには、様々な種類があります。
例えば、特定の業種に特化したECサイトや、商品の取扱量や種類によって出店制限がある場合もあります。
商品に合ったECサイトを選定することで、より多くの顧客層にアピールできるようになります。
出店申請
選定したBtoB ECサイトに出店するためには、出店申請が必要です。
出店申請には、自社情報や取扱商品の情報を提供する必要があります。出店先のBtoB ECサイトによっては、審査が厳しい場合もあります。
そのため、出店申請書をより充実させることで、審査を通過しやすくなります。
商品登録
出店申請が承認された後は、商品登録を行います。
商品登録には、商品名、価格、在庫数、商品画像などの情報を入力する必要があります。
商品登録には手間がかかりますが、正確かつ詳細に情報を登録することで、より多くの顧客にアピールできるようになります。
受注・発送・決済処理
BtoB ECサイトでの受注に応じて、出品した商品を発送する必要があります。
顧客からの問い合わせに対応することも必要です。
また、決済処理についても出店先のBtoB ECサイトが定める方法に従って行う必要があります。
商品の受発注や決済処理は手間がかかる作業ですが、より多くの顧客にサービスを提供するためには欠かせない作業です。
また、商品の品質や発送のスピードなど、サービスをより充実させることで、より多くの顧客からの信頼を得ることができます。
国内におけるBtoB ECのランキング上位から学ぶ顧客満足度の高いサイトとは？
国内におけるBtoB ECのランキング上位から学ぶ顧客満足度の高いサイトについて、J.D.パワージャパンが発表した2021年の「ビジネス向けECサイト顧客満足度調査」に基づいて紹介します。
たのめーる（大塚商会）
たのめーるでは、法人向けのオフィス用品や消耗品、工具、医療用品など、幅広い商品ラインナップを揃えています。
顧客が必要とする多様な商品を取り揃えることで、顧客にとって利便性が高く、顧客満足度を高めることができたと考えられます。
また、注文から納品までのスピードが早いことも評価されており、在庫を常に把握し、迅速かつ正確な発送を行うことで、顧客からの信頼を得ています。
他にも、電話、FAX、インターネット、メールなど、様々な注文方法を提供しており、顧客のニーズに合わせた柔軟な注文方法を提供することで、利便性を高め、顧客満足度を高めることに繋がっていると推察されます。
ASKUL
ASKULは、オフィス用品を中心に、事務用品や工具、医療機器など多岐にわたる商品を取り扱っています。
多数のメーカーから商品を取りそろえているため、顧客のニーズに合わせて選択肢が豊富にあります。
豊富な商品ラインナップだけでなく、使いやすいサイト構成も評価されている要因の一つです。
商品検索や注文手続きが簡単にできるため、利用者にストレスを感じさせず、スムーズなショッピング体験を提供しています。
また、ASKULはカスタマーサポート体制を整えており、専任のカスタマーサポートチームを設置し、電話やメールでの対応に加え、チャット機能を導入するなど、顧客からの問い合わせに迅速かつ柔軟に対応していることもポイントです。
Amazon Business
Amazon Businessは、ネット通販大手のAmazonが提供する法人・個人事業主向けの通販サービスです。
Amazon Businessにおいては、購入した商品に対してレビューを投稿することができる「Amazonビジネスアカウント」を提供しており、他社の意見や評価を確認できることが顧客満足度につながったと考えられます。
さらに、Amazon Businessは顧客の購買履歴や嗜好に基づく推奨商品の提供や、自社の人工知能技術を活用した注文予測機能を提供するなど、顧客のニーズに応える機能の提供にも注力していることが、高い顧客満足度を獲得した理由の一つとして挙げられます。
【まとめ】BtoB ECについて
BtoB ECは企業同士が取引を行うためのオンラインビジネスプラットフォームです。
今後は、さらにデジタル化が進み、AIやIoTなどのテクノロジーを活用した取引が増加すると予想され、BtoB ECを活用することで競争力の向上やビジネスの拡大が見込めます。
企業が将来に向けて取り組むべき重要な分野であるため、BtoB ECサイトの活用について検討してみてはいかがでしょうか。
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