ナノインフルエンサーとは

そもそも「ナノ」とは10億分の1を意味する単位であり、極めて小さいものを表す時に使用されます。
その言葉通り、ナノインフルエンサーとはフォロワーが従来のインフルエンサーに比べて少なく、小さい規模で活動するインフルエンサーのことを指しています。
一般的な定義としては、SNS上で1万人以下のフォロワーを持つインフルエンサーの事を指し、SNSの中でもInstagramを中心に活動するインフルエンサーを指す場合が多い傾向にあります。
ナノインフルエンサーとして活動する方にはその分野の専門家である方が多いです。
他にもマイクロインフルエンサー、マクロインフルエンサー、メガインフルエンサーがあり、ナノインフルエンサーはこれらに比べてフォロワー数では劣るものの、インフルエンサーマーケティングにおいては決して無視できない存在となっています。
今回はナノインフルエンサーが注目を集める理由を、彼らの持つ特徴をご紹介しながら紐解いていきたいと思います。
ナノインフルエンサーを活用するメリット

①良質なオーディエンス
まず最初に、ナノインフルエンサーには良質なオーディエンスが期待できます。
ここでいう「オーディエンス」とはSNS上のフォロワーのことを指し、ナノインフルエンサーはフォロワーとの親密度が高いのが特徴です。
その理由として挙げられるのは、ナノインフルエンサーがフォロワーからの質問や感想に返事を送ることへのハードルが低いことが挙げられます。フォロワーが少ないため、投稿に寄せられた感想や質問も相対的に少なくなり、1つ1つのメッセージに目を通すことが容易にできるのです。よって、双方のコミュニケーションが成立しやすくなっており、親密な関係が結ばれた良質なオーディエンスが集まります。
また、フォロワー数が一般人に近いため、一般人であるオーディエンス側に親近感が湧くこともナノインフルエンサーの持つ特徴です。より近しい目線で対話ができることから、互いに信頼を築きやすい関係性にあります。
②高いエンゲージメント率
SNSの投稿に対する「エンゲージメント率」とは、自身のフォロワーの内で投稿に反応した人々の割合を表します。つまり、この値が高いほど、投稿に「いいね」や「シェア」などで反応している自分のフォロワーが多いことを示しています。
そして、このエンゲージメント率が高いのがナノインフルエンサーの特徴です。
HypeAuditorが行った調査によると、インスタグラムにおけるフォロワー数が1000人~5000人のナノインフルエンサーである場合、そのエンゲージメント率は他のインフルエンサーに比べて2倍以上高いという結果があり、ナノインフルエンサーの高いエンゲージメント率が実測値で表されています。

③高いコストパフォーマンス
コストパフォーマンスが高いこともナノインフルエンサーの利点です。
通常、インフルエンサーへPRなどの仕事を依頼する際には、費用がかかります。
この費用はフォロワーの数によって決まる場合が多く、1フォロワー×〇円といったように計算されます。
仮に、1フォロワーにつき2円で仕事を依頼する場合、フォロワーが100万人のメガインフルエンサーならば200万円かかるのに対し、フォロワーが5000人のナノインフルエンサーでは1万円で済むことになります。
つまり、限られた予算内でインフルエンサーを起用する場合、同じ費用でより多くのインフルエンサーを起用できるのが、ナノインフルエンサーを活用する強みといえます。
④ニッチな層への発信力
他にもナノインフルエンサーの強みとして、ニッチな層へ発信する力があることがいえます。
流行りの商品やサービスにおいてはフォロワー数の多いメガインフルエンサー等によるPRが比較的適していますが、専門性が高い商品やサービスにおいてはナノインフルエンサーによるPRの方がより高い費用対効果が得られるケースが多くみられます。
この理由として、ナノインフルエンサーが特定分野における専門家であり膨大な知識を有していることが挙げられます。狭く深く分野を絞っている方が多く、例えば「ビジネス」等大きい分野ではなく、より絞った「就活」等に特化されている方もいます。
このように、ナノインフルエンサーを活用すると主に4つのメリットがあり、このことからインフルエンサーマーケティングにおいても一際注目を集める存在となっています。
一方で、デメリットが存在しないのかというと、そうではありません。次に、ナノインフルエンサーを活用する上でのデメリットをご紹介いたします。
ナノインフルエンサーを活用するデメリット

①影響力が小さい
ナノインフルエンサーを活用する上でまず挙げられるネガティブな点は、影響力が小さいことです。
例えば、フォロワーが100万人いるメガインフルエンサーと1万人いるナノインフルエンサーでは、抱えているフォロワーの数に大差があり、各々の投稿が人々の目に触れる機会にもれっきとした差が生じます。
無論、このことは宣伝効果にも大きな違いを生みます。
②仕事の依頼に慣れていない場合がある
普段から案件を依頼されているわけではないナノインフルエンサーは、企業から仕事を受けた経験が少ないため、仕事に慣れていない可能性があります。
SNSでの活動を生業ではなく副業として行っているインフルエンサーは多く、特に稼ぎの少ないナノインフルエンサーにおいてはそれが顕著であるため、企業側の積極的なサポートが必要です。
実際、企業が同意の上でとある商品をPRのためにナノインフルエンサーに郵送したものの、なかなかPRの投稿を行ってくれないというケースも存在します。
③数が多い
先述した通り、ナノインフルエンサーは数が多いのが特徴であり、他のタイプのインフルエンサーに比べてもその数の多さは歴然としています。
このことは、企業が豊富なラインナップからインフルエンサーを選べることを意味する一方で、なかなか絞れないという欠点も生じさせます。
提供した商品をPRするのに最も適したインフルエンサーを選ばないと期待される費用対効果は小さく、いかに企業が求めている人物とナノインフルエンサーをマッチさせるのかが課題であるといえます。
企業によるナノインフルエンサーの活用例
実際に、ナノインフルエンサーが企業のPRに起用された例をご紹介します。
「ダンキン」のインフルエンサーマーケティング
海外を中心に展開している大手ファーストフード店「ダンキン」は、多数のナノインフルエンサーとタイアップして、新しいエスプレッソのPRを行いました。
キャンペーンの目的
✓ダンキンの「コーヒーへのこだわり」をブランドイメージに再定着させること
✓コーヒーの人気が上昇し続けている中でダンキンのエスプレッソの存在感を示すこと
✓ダンキンのインスタの公式アカウントのエンゲージメントを高めること
起用したインフルエンサー
✓インスタグラム上のインフルエンサー
✓ミレニアル世代以下のマイクロ・ナノインフルエンサー
起用されたナノインフルエンサーによる投稿例
実際にナノインフルエンサーによって投稿されたタイアップ広告が以下の2つです。(フォロワー数は本ブログ公開時点の値)
1. Vanessa Lace(@vanessaferraiolo) – フォロワー6749人

2. Reannoin Jean Celins(@whatwouldreado) – フォロワー6925人

投稿例のエンゲージメント
例として挙げた2つの投稿のエンゲージメントは以下の通りです。(いいね・コメント数は本ブログ公開時点の値)
1. ・いいね – 741
・コメント – 64
・エンゲージメント率 – 約26%
2. ・いいね – 293
・コメント – 24
・エンゲージメント率 – 約10%
これらの結果が示す通り、ナノインフルエンサーによる投稿はエンゲージメント率が高くなる可能性が高く、高い水準の訴求効果が得られることが分かりますね。
また、低コストのナノインフルエンサーを活用した上でこれほどのエンゲージメントを獲得しているため、ダンキンが行ったマーケティング戦略は費用対効果が高いといえます。
まとめ

本記事では、SNS上で10000人以下のフォロワーを持つナノインフルエンサーに着目し、彼らが良質なオーディエンスを持つこと、高いエンゲージメント率とコストパフォーマンスを誇ること、そしてニッチな層への発信力があるという点から、今インフルエンサーマーケティングにおいて大きな存在感を示していることについてご紹介しました。
一方で、ナノインフルエンサーを活用する際のデメリットについても取り上げ、その影響力の小ささ、仕事への不慣れや数の多さといった点も無視することができないと考えられています。
また、ナノインフルエンサーの起用例として「ダンキン」のマーケティング戦略を挙げ、ナノインフルエンサーの投稿には高い訴求効果があったことが分かりました。
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