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インフルエンサーマーケティングの現状

SNSやレビューを見てから商品やサービスを購入する消費者は年々増加しています。消費者は購入を決定するまでに様々なSNSやサイトを見るため、ブランドが消費者とつながる場所はオンライン上にあると言えます。
また、マーケティングに成功しているブランドは、特定の分野のトップインフルエンサーをうまく利用していることが多いです。インフルエンサーは何らかの分野の専門家であり、彼らの知識を分けてもらいたい、彼らのようになりたいと熱望する熱心なフォロワーを抱えています。
Influencer Marketing Hubが行った調査では、2017年から2019年の間でインフルエンサーマーケティング市場が2倍にも成長しているという結果が記されています。

ブランドがインフルエンサーのフォロワーにうまく働きかけることができれば、従来の宣伝方法に比べて圧倒的に効率よく、そして熱心な消費者を獲得できるのです。そのため、インフルエンサーマーケティングは、今、最も急速に成長しているオンライン顧客獲得方法です。
インフルエンサーマーケティングはマーケティングを行う上で、欠かせない手法になってきていますが、課題があるのも事実です。
インフルエンサーマーケティングの課題

インフルエンサーマーケティングの課題その①は、インフルエンサーにオファーを受け入れてもらう難しさです。
トップインフルエンサーと呼ばれる人たちは1日に何通ものオファーを受けており、オファー内容を読んでもらえないことさえあります。
そのため自身のブランドを売り込もうとする際には、いかに魅力的な内容で勝負し、オファーを引き受けてもらうかが重要になります。
課題その②は、事前の計画無しでは、効果を最大化できない点です。
収益性の高いマーケティングを行うためには、計画段階でキャンペーンの目標、マーケティングにかける予算、インフルエンサー経由の流入先が発生した際にどのようなコンテンツを用意するかなど様々な事項を確認しておく必要があります。
これらの事項が確定してはじめて、インフルエンサーとブランド、双方にとって有効なマーケティングがなされます。
今回は、上記2つの課題点も踏まえて、インフルエンサーマーケティングで効果を最大化するための方法を10stepに分けてお伝えします。
STEP1.目標を決める

これは他のマーケティングキャンペーンにも共通することですが、まずはキャンペーンの目標設定をしましょう。
キャンペーンの目的がはっきりと見えると、それに必要な戦略を立て、予算を計上することができます。そして、目標を決めるということは、目標の達成率を測る指標が必要であることを意味します。
この指標が明確であると、目標を達成するためにどのような行動をとるべきかを具体的に決定することができるからです。
一般的にインフルエンサーマーケティングの目標としてよく用いられるものに、リーチの拡大、リードの生成、ブランドの認知度向上、そして収益の増加があります。
ここではこの4つについて、実例を用いながら学習していきましょう。
目標設定① リーチ拡大
リーチ、すなわち広告の到達率を上げたい場合には、キャンペーン中に生み出された「いいね」 「フォロワー」 「シェア」 「コメント」を追跡する必要があります。
例えば、自然食品業界のYoufoodz社はInstagaramやFacebookにおける81人のインフルエンサーに依頼し、約150万人に新たにリーチすることができました。
多くの人に広告を見てもらうことが目的の場合、沢山のインフルエンサーを起用することが鍵となります。
目標設定② リード獲得
リード、すなわち将来的な顧客を獲得したい場合は、キャンペーン中に生み出された見込み客の数を把握する必要があります。
例えば、インフルエンサーの投稿にブランドSNSをタグ付けしてもらい、「そこから何人が自社のSNSをフォローしたか」等の指標として追跡することが出来ます。
「新規で何人がメール購読者になったか」「何人が会員登録したか」等もそうですね。
目標設定③ ブランドの認知度を高める
ブランドの認知度を高めたい場合に結果を追跡する指標には、「インプレッション」 「フォロワーの増加数」 「エンゲージメント」などが考えられます。
「インプレッション」:広告の表示回数であり、シェア機能によって増加させることができます
「エンゲージメント」:投稿に対してオーディエンスがとったアクションの総数で、コメント、シェア、いいね!などが含まれます
例えば、Lenovo社はインフルエンサーマーケティングを行って、2種類の新製品を宣伝しました。具体的には、ブログのレビュー記事執筆やプレゼント企画の実施を行いました。
その結果、5100万ものインプレッションを獲得し、新製品の認知度を上げることに成功しました。
目標設定④ 売上増加
収益を増やしたい場合には、キャンペーン経由の購入数を計測する必要があります。
よく用いられるのは、各インフルエンサーに固有のアフィリエイトリンクを提供する方法です。これにより、各インフルエンサーからの購入数を把握でき、売上とインフルエンサーの働きを結びつけて考えることができます。
例えば、ダニエルウェリントン社は、各インフルエンサーに固有の割引クーポンコードを配布しました。すると各インフルエンサーの追跡が容易になると同時に、全体的な売上を高めることができました。
これは収益を上げるための効果的な戦略と言えるでしょう。
インフルエンサーマーケティングの予算について
このように具体的な目標が決まると、予算を決定することができます。
ある調査では、インフルエンサーマーケティングに参入する60%のブランドが100万円以上を投資していることが明らかになっています。

同調査では、17%のブランドが総マーケティング予算の50%以上をインフルエンサーマーケティングに投資していることも示されました。

このように、インフルエンサーマーケティングの市場は拡大し続けており、どのブランドも総力を挙げて参入していることが伺えます。
上記の調査は海外での調査なので、日本の現状はまだここまでの域には達していないと考えられますが、確実に日本でもインフルエンサーマーケティングへの投資は増加していくでしょう。
自身のマーケティング目標に合わせて、適切な予算編成を行いましょう。
STEP2.ターゲットを絞る

目標とは別に、キャンペーンのターゲットとするユーザーを絞り込みましょう。
ターゲットを決定する場合には、これまでの商品の顧客から考えられるペルソナを設定することが有効です。
20代女性、30代男性、主婦、サラリーマン、料理をよくする、体型が気になる・・・といった年齢・性別・趣味などの要因をできるだけ明確に特定しましょう。
ターゲットを決めたら、ターゲットと同じフォロワーを持つインフルエンサーの選択に移ります。
STEP3.キャンペーンに適したチャネルを決める

インフルエンサーマーケティングはInstagram、Twitter、Facebookなど様々なチャネルで行うことができます。収益を上げるためには、最適なチャネルを決定することが不可欠です。
例えばブランドの認知度を上げることが目的の場合、Instagramは適したプラットフォームです。
ただしInstagramではリンクを追加できるのはプロフィール欄のみです。したがって商品ページへ誘導したい場合には、Instagramは最適なチャネルとは言えないでしょう。
このように、目的に応じて適したチャネルは変化します。
またインフルエンサーの大半は複数のチャネルにまたがって活動しています。そこで、「選択したチャネルで強い存在感を発揮しているか」慎重に見極めましょう。
影響力について判断する際にも、フォロワーのエンゲージメント率は大切な指標となります。
STEP4.インフルエンサーを探す

目標、ターゲット、チャネルが決まったら次に行うのはブランドに適したインフルエンサーの選択です。
これまでの調査で、消費者の約40%が「商品の購入の際にインフルエンサーの意見をとり入れた経験がある」ことが示されています。
つまりブランドは、インフルエンサーに良質な口コミ投稿をしてもらうことで、消費者の信頼を得ることが可能なのです。
では、実際にターゲットとなるインフルエンサーをどのように見つけたらよいのでしょうか?ここではインフルエンサーを探すためにとるべき行動を紹介します。
ハッシュタグを検索する
まずはSNS上で関連しそうなハッシュタグを検索し、ターゲットとする分野で影響力のあるハッシュタグを見つけましょう。
ハッシュタグを特定した後は、さっそくハッシュタグをフォローしましょう。そして自分で選定したハッシュタグがついた投稿のうち、上位の投稿を特定し、どんな人が投稿しているかを確認しましょう。
人気投稿の上位には、インフルエンサーがいることが比較的多いです。
ターゲット顧客がフォローしているインフルエンサーを知る
ペルソナに近いユーザーを複数人探し出して、誰をフォローしているのか調べることも効果的な見つけ方です。
また、同時にどのようなブランドをフォローしていて、そのブランドはどのようなインフルエンサーを起用しているのか確認してみるのもおすすめです。
エンゲージメント率を算出する
インフルエンサーを絞りこんだら、フォロワー数と投稿内容を確認しましょう。
そしてエンゲージメント率によって、「インフルエンサーの投稿がどれほどフォロワーの興味を引いているのか」算出しましょう。エンゲージメント率を算出することで不当な手段でフォロワーだけを増やしたインフルエンサーをリストから除くことできます。
インフルエンサーを見つけるのは容易ではありませんが、連絡をとる前に、インフルエンサーの影響力の規模感を確認しておきましょう。
STEP5.インフルエンサーにコンタクトをとる

インフルエンサーを絞りこんだら、次はコンタクトをとりましょう。
SNSでDMを送る
SNSで連絡をとるというのは、つまりFacebookやTwitter、Instagramのメッセージ機能を利用する方法です。最初はこのくらいカジュアルなコミュニケーションで十分です。
実際に共同でキャンペーンを運営することが決定した場合に、メールに切り替える方法もあります。
ただしインフルエンサーによっては、毎日大量のメッセージを受け取っており、メッセージに気がついてもらえない可能性もあります。
そのためSNS上の活動をこまめにチェックし、次の対策を考えて動きましょう。
メールを送る
ある調査ではインフルエンサーの41%が1週間で5~15本もの依頼を受けていると報告されました。
したがって、依頼を受けて入れてもらうためには少しでも目立つ内容を送る必要があります。
また、文章の内容をインフルエンサーによって使い分ける方法も効果的です。沢山いるインフルエンサーの内の一人ではなく、個別対応で丁寧にコミュニケーションをとる印象を与えることで、相手もブランドのことを信頼したくなるのです。
〜メッセージのコツ〜
初めからメッセージに全ての内容を盛りこむのはやめましょう。
まずは相手の投稿を褒め、なぜブランドとして目をつけたのかきちんと説明しましょう。するとインフルエンサーはなぜ連絡が来たのか理解できます。
また、メールはネクストアクションを具体的に示唆するような内容で終わるのが効果的です。
これと関連して、投稿の内容をいくつか提案してみるのもおすすめです。
いずれにせよインフルエンサーが投稿しやすくなるように、モチベーションを上げるようなやりとりをするのがよいでしょう。
最後になりますが、SNSのメッセージ、メール、その他どのような手法でもインフルエンサーの都合を考えず、強引に連絡を取ろうとするのはやめましょう。
無理矢理関係を築こうとすると、信頼されるどころか不信感を抱かれてしまいます。
STEP6.コンテンツを作成する

契約が完了したらやっとインフルエンサーとコンテンツを作ることができます。
ここで改めて「キャンペーンの目的をインフルエンサーが理解しているか」確認してください。ブランドが何を達成したいのか正確に把握することで、目的に沿ったコンテンツが作られます。
インフルエンサーと共同してコンテンツを作るのか、もしくはインフルエンサーが作ったコンテンツをブランドがチェックするのかはキャンペーン内容・インフルエンサーの経験などを鑑みて判断しましょう。
いずれの場合も、インフルエンサーをコントロールしすぎないことが重要です。
インフルエンサーを信用し、クリエイティビティを発揮できる余白を残しましょう。
ある企業でインフルエンサーの働きやすさについて調査したところ、77%のインフルエンサーが「投稿内容が自由であること」と答えています。
これは働きに見合う報酬があることやブランドの目的と自身の目的が一致していることを押さえて1位でした。
インフルエンサーは自由を認めるブランドを好む傾向にあることを覚えておいてください。
STEP7.インフルエンサーに報酬を支払う

インフルエンサーを動機付けるために自由度とは別に、働きに見合う報酬を用意しましょう。
インフルエンサーの68%は適切な報酬があればブランドに協力すると言っています。
ここで扱う対価は金銭報酬だけでなく、無料のサンプルなどの商品提供も含まれます。
どれだけの報酬を与えるかは、インフルエンサーのパフォーマンスを適切に評価し、エンゲージメント率を計算した上で決定しましょう。
STEP8.キャンペーンを実行する
コンテンツ・報酬について目途が立ったら、キャンペーンを実行します。
理想は、キャンペーンを時系列で計画することです。
キャンペーンがどう進むかは非常に不確実なため、不測の事態も必ず起きるでしょう。しかし練りこまれた計画はキャンペーンの成功をもたらします。
効率的にマーケティングを行うために、できる限り計画は緻密に立てましょう。
STEP9.結果を評価する

マーケティングの終わりを待たずに、進行中もインフルエンサーの働きを評価しましょう。
目標設定をあらかじめ決めていると思いますので、それに沿って結果を分析します。
例えばリードの増加が目標の場合はトラフィックの数、売上増加が目標の場合はエンゲージメント率を計算するのでしたね。
そして得られたデータを目標で設定した値と比較し、キャンペーンの進行状況を確認しましょう。
STEP10.キャンペーンを最適化する
最後にマーケティング中に行うこととして挙げられるのは、結果を見ながらマーケティングを理想に近づけることです。
投稿のリアクションが大きくないのであれば、その原因を分析して投稿のインパクトを大きくするか、投稿の数を増やすのか、など対策を立てましょう。
ブランドとの相性もあるため、結果が芳しくないインフルエンサーとの契約を終えることも必要です。キャンペーンの終わりを待つのではなく、常に調整を加えていきましょう。
効果的なインフルエンサーマーケティングの10stepまとめ
- 効果的なインフルエンサーマーケティングの10step
- 1.目標を決める
- 2.ターゲットを絞る
- 3.キャンペーンに適したチャネルを決める
- 4.インフルエンサーを探す
- 5.インフルエンサーにコンタクトをとる
- 6.コンテンツを作成する
- 7.インフルエンサーに報酬を支払う
- 8.キャンペーンを実行する
- 9.結果を評価する
- 10.キャンペーンを最適化する
いかがでしたか?
今回は収益性の高いインフルエンサーマーケティングを運営するための手順を紹介しました。
キャンペーン開始後も常に結果を追い、調整を行うことでキャンペーンを効率よくすることができます。インフルエンサーマーケティングはたしかに簡単ではありませんが、戦略を立てれば誰でも成功できます。
本稿があなたのマーケティングの一助となることを祈っています。
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