
従来のマーケティングでは難しい化粧品業界

コロナウイルスの影響で、ステイホームやマスク生活によって、売り上げが大幅に減ってしまった化粧品業界。特に影響が大きかったカテゴリーなどは2020年は前年度に比べると40%も売り上げが下がってしまっています。
みなさんのなかには、コロナウイルスさえ収まれば元の売り上げに戻っていくのではないかと考えている方はいらっしゃいませんか?
今回のコロナウイルスによって世界は大きく変わりつつあり、消費者の買い物の仕方も大きく変わってしまいました。そんな状態でコロナウイルスが収まってからくるのは、コロナ禍以前の生活ではなく、また、コロナ禍中とも違う生活なのです。
終息後もインターネット通販で購入予定の消費者増加
コロナウイルスによってインターネットを利用して化粧品を購入する機会が増えたと答えた人は5割近くになります。そして終息後もインターネット通販で化粧品を購入する予定だと答えたのが、3割近いです。
つまり今までのようにデパートや百貨店での販売での顧客数は減っていく傾向にあることがわかります。従来の対面形式による販売方法だけでは、今の消費者は利用してくれないでしょう。
迫りくる韓国や中国のコスメたち
日本の化粧品業界を脅かしているのはコロナウイルスによる時代の流れだけではありません。コストパフォーマンスがいい韓国や中国のコスメがシェアを伸ばしつつあるのです。
元々美容大国ともいわれていた韓国は、KPOPアイドルなどによるSNSマーケティングを多用し、日本のSNSでも大いに人気を博しています。中国も2019年ごろから中華メイクというブームがきており、パッケージがSNSで映えるような物が多いことからこちらもSNSで話題になっているのです。
コスパもよくパッケージも可愛らしいものが多い韓国中国コスメは、SNSをよく使う若い世代を中心に顧客を確保しつつあります。
新しい美容業界マーケティングを進めるセミナーが多数開催

今までとは違う時代が待っていることがわかっているのに、日本の企業も手をこまねいているわけではありません。時代に合ったマーケティングを行うためにセミナーも多く開かれています。
ここからはどのようなセミナーが行われているのか、今年行われたセミナーを参考にご紹介します。
消費者の本音が重要
少子化などによって国内の消費者の数は減りつつあります。若年層の減少により特に化粧品業界は打撃を受けざるを得ません。減っていく消費者を一人でも多く確保していかなければなりません。そのために必要なのは今まで以上に消費者の心理について考える必要があるのです。
女性だからこれが好きだろうといった固定観念は捨て、今の消費者の本当の声を聞き、そのニーズに合ったものを作り続けることが重要になります。そのためには消費者との距離を近くないといけません。
しかし物理的な距離を縮めることが難しい現状で、どのように消費者との距離を縮めればいいのでしょうか。
セミナーで講師をされていた企業の方の成功談では、SPA型ビジネスモデルとファンマーケティングを紹介していました。
SPA型ビジネスモデルとは従来の商品を作って百貨店やデパートに小売りを任せる形ではなく、専門店を作り、直接顧客に販売するビジネスモデルです。衣料品業界では多いシステムですが、このシステムによって顧客の情報を直接手に入れることができるのです。販売を自社で行うことで、顧客のニーズをキャッチしやすくなるでしょう。
ファンマーケティングとは消費者にブランドや商品のファンになってもらおうという施策です。ブランドなどに強い愛を持ってもらって、こちらも親しまれるような接客や情報提供などを行って、コアなファンになってもらいます。そうするとリピートしてくれるだけではなく、熱心に情報を発信してくれるので、消費者目線の広告をファンな顧客が自発的広めてくれるのです。
バーチャルでの顧客との関わり
顧客との物理的な接触が忌避されている現代で、消費者にいかに商品の魅力を伝えるかという点に注目したセミナーもあります。
化粧品の魅力は実際に肌につけてみないとわからないから、物理的な接触なしでどうやって伝えればいいのか悩んでいる企業の方も多いのではないでしょうか。
中には専門店に非接触で使えるテスターを設置するなどの努力をしていますが、今は外出すら避けている人が多くなっています。そこであげられるのが、家にいながらお店のように消費者が化粧品を合うかどうか試せるバーチャルでの接客です。
例えば資生堂ではPC用カメラを使った拡張現実によるサービスを開始しました。これはZOOMなどで専用のPC用カメラアプリを使うと、新作のコスメによるメイクを楽しむことができます。自分の肌その色が合うのかなどが確かめられるので、顧客が興味を持ち、そのままECサイトから購入できるというシステムになります。
実際にお店に行ってよく見てみたいという顧客に向けたバーチャル技術を生かしたサービスを利用している企業もあります。アットコスメは@cosme TOKYO 店に家にいながらいける「@cosme TOKYO -virtual store-」というスマートフォン向けのアプリを公開しました。
このアプリを使えばスマホの画面内で、自由に東京にある@cosme TOKYO 店に訪ねることができます。店内にある商品を手をにとって試した動画が見れたり、商品概要を読んだりすることができるので、実際に来店しているように錯覚することでしょう。気になる商品をタップすれば公式の通販サイトに飛ぶこともできるので、購買意欲が上がったその時に購入することができます。
自社を振り返り、世界観を固定する

顧客のニーズを今までよりも明確に把握することが重要で、気軽に商品に接することができる環境を作ることがこれからの化粧品のマーケティングには必要です。そのマーケティングを続けていれば、ファンが増え、リピータ顧客の増加も見えてきます。
そのマーケティングを行う前にしなければいけないのが、自社ブランドについての把握です。
若い世代の思想としては、派手に美しくというものよりも、自分らしく生きていきたいと願望が強くなっています。そのため化粧品を選ぶときも自分らしさに合ったものを選ぼうとしてます。
その時に彼らが参考にするのは、その化粧品の世界観です。ブランドが持っている独自な雰囲気を気に入って使っているという人も少なくありません。むしろブランドが持つ世界観に魅せられてファンになっていく消費者も増加の傾向にあります。
そんな時に自社のブランドの軸がぶれていると、顧客は熱狂的にはなりにくくなってしまいます。まずは自分のブランドの色はどんなものなのかを理解し、その色をいかに魅力的に見せられるようにする工夫が必要になります。
効果的なファンマーケティングにはインフルエンサー利用
いかに魅力を伝えたとしたとしても、新規企業ではなかなか認知してもらえないからファンもつきにくい傾向にあります。そういう時はすでに影響力のあるインスタなどのSNSで活動しているインフルエンサーの力を借りるという手もあるでしょう。
美容系インフルエンサーの方に商品を試してもらって、その感想などを発信してもらうのです。そうするとまだブランドを知らなくても、そのインフルエンサーのファンがブランドのファンにもなってくれる可能性が高くなります。
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