
目次
コスメ広告への男性起用が増加

化粧品のコマーシャルなどを思い浮かべると、そこにいるのは女性だという方が多いと思います。
化粧品は女性が使うものなのだから、その広告も共感が得られやすい美しい女性を採用するのは当たり前だと思っている方がほとんどです。
しかしその常識は、崩れつつあることを皆様ご存じでしょうか。
今、コスメ業界のマーケティング方法は大きく変貌しつつあります。その1つに、広告キャラクターとして男性アイドルやいわゆるイケメン俳優を採用するという手法があげられます。
実は、この男性を起用するという広告手法は、隣国であり美容大国として有名である韓国ではポピュラーな手法の1つです。
韓国コスメの人気とともに、このマーケティング手法が日本でも増加してきているのです。
今から、男性モデルによるコスメプロモーション例をご紹介させていただきます。
男性モデルによるコスメのプロモーション例

ディオール×ラウール(Snow Man)

「パルファン・クリスチャン・ディオール」はリップスティックの新発売を記念し、ジャニーズ事務所のアイドルグループであるSnow Manのラウールさんとのコラボレーションを行いました。
リップスティックの限定色「620 フェイス スター」を纏ったヴィジュアルと、スノーマンの新曲「KISSIN’ MY LIPS」と連動したコンテンツをイベント特設サイトで公開しました。
メイベリン ニューヨーク×錦戸亮

世界最大の仏化粧品会社ロレアルグループが運営を行っているメイクアップブランド「MAYBELLINE NEW YORK」は、歌手、俳優として活躍する錦戸 亮さんをジャパンブランドサポーターに起用しました。
今後はブランドムービーへの出演や、大人気マスカラ「ラッシュニスタ N」のweb・屋外・店頭広告など、様々なキャンペーンに登場する予定とのことです。
uno×竹野内豊・窪田正孝

「uno」は、自分を大人に引き上げたいハイティーンから30代男性をターゲットに、多彩な個性を自由に楽しめ、清潔感ある第一印象を演出できるプロ仕様のメンズグルーミングブランドです。
大人の男性をアピールするため、クールな竹野内豊さんとチャーミングな窪田正孝さんが上司と部下として登場し、第一印象を速攻で造ることができる男性用BBクリームを、部下の窪田さんにすすめる構成になっています。
このように、コスメ業界において広告に男性を起用する傾向が多く見られ始めています。
次にその理由について解説させていただきます。
理由1:男性アイドルからファンへのアプローチ

韓国で人気のあるコスメ企業は、男性Kpopアイドルを広告キャラクターとして採用するケースが多くなっています。この起用の大きな目的は、世界的人気にもなっている 男性Kpopアイドルからのファンへのアピールです。
男性アイドルのファンの多くは若年層女性であり、多くの若年層向け化粧品のターゲット層とマッチしています。彼女たちは男性アイドルたちが発信する情報にはかなり敏感であり、最新情報をすぐにチェックします。
また彼女たちは自分が好きな男性アイドルが薦めた商品が売れれば、彼らの活躍の場が増えることを知っているので、彼らを応援するためにも率先してその商品を購入する傾向にあるのです。
更に、彼女達はより多くの方に購入してほしいので、その情報もすすんで拡散します。企業としては味方につけておきたい大きな存在でしょう。
日本でも成功ケースが
コスメ企業の男性アイドルの広告起用例として、現在では韓国の話が目立ちますが、実は日本でも20年以上前にこの手法が成功したケースがあります。
1996年当時、人気を誇ったアイドルグループ「SMAP」に所属していた木村拓哉さんが、カネボウの女性用リップのCMに登場。
女性用コスメのCMに男性が出るのは前例がなかった時代でしたが、その結果は大成功となりました。彼のファンがその口紅を求め、なんと二ヶ月で300万本を売り上げるという大ヒットを記録したのです。
また、メンズコスメ業界における市場動向と広告戦略については下記の記事でご説明させていただいております。
併せてご参照くださいませ。
理由2:美容意識の高い男性の増加

化粧というと女性がするものという固定概念自体が古いものになりつつあるのをご存じでしょうか。以前、男性は最低限の身だしなみだけしておけばいい、男性が美容を気に懸けるなんて女々しい、などと言われていたこともありました。
しかし様々な価値観が育っていく現代では、その考えは通じなくなっているのです。
実は、外見を今より良く見せたいと考える男性の数は半数を超えており、20代男性ですと7割以上が「美容に関心がある」と答えています。
男性向けのメンズコスメの需要や、美容外科を利用する男性の数も年々増加傾向にあるのです。
そんな男性に向けてのアピールとして、同性である男性芸能人をコスメの広告で起用する企業が増えています。
美容に興味はあるけれど、コスメは女性だけのものだからという彼ら自身が持っている思い込みを砕き、購入への後押しをする効果が期待されているのでしょう。
リモートワークも男性の美意識に影響
昨今の感染症対策やそれに伴う働き方の変化により、リモートワークを導入し始めている企業も多くなっています。
実はこのリモートワークが自分の見た目を変えたいと思っている男性を増やしている理由のひとつだという調査結果も上がっているのです。
男性の皆さん、日常の生活で自分の顔をじっと見つめるような時間はどれぐらいございますか。
鏡でよく見るのは髭剃りや洗顔の時だけで、まじまじと自分の顔を意識してみたことはないという方も多いのではないでしょうか。
しかしリモートワークでカメラ会議などをしているときは、パソコンのカメラを通した自分の顔も画面の中に映ります。
画面を見ながら仕事するのですから、話している相手だけではなく自然と自分の顔も視界に入ります。その時に自分の顔を自覚し、もう少し良くしたいという欲求がわいてくる男性が増えているのです。
理由3:ジェンダーフリー

また、そもそも女性だから、男性だからという考え方そのものが古いと主張する方たちも増えてきています。
性別で物事を考えることをやめた「ジェンダーフリー」という考え方が多くの物事に浸透してきていて、最近では学校の制服を性別に限らず、スカートとズボンのどちらか好きな方を選べる、といったジェンダーフリーの制服なども話題になりました。
コスメ業界もこの流れに無関係ではいられず、ジェンダーフリーコスメが注目されつつあるのです。
女性用・男性用と商品を分けるのではなく、男女どちらが使ってもいいような商品を最初から目指すという傾向です。
カップルで同じ化粧品を共有して使っているといった消費者も増加傾向にあるので、ジェンダーフリーコスメの人気傾向はこれからも続いていくでしょう。
そのため女性だけがコスメの広告キャラクターとなるのではなく、男性も共に化粧品を利用する立場として広告に起用されることが一般的になっていくのです。
女性らしさでも男性らしさでもなく、「自分らしさ」を追求していく現代では、コスメはすべての人の物になっていくでしょう。
消費者もジェンダー問題に注目している
コスメコーナーに男性が来客した場合、あなたがもし販売員だとしたらどのような声がけを行うでしょうか。
従来の考え方であれば、「プレゼント用ですか」などと女性への贈り物を買いに来たお客様として接していたと思います。
しかし現在、男性でも化粧を楽しむ時代になっているので、その対応ではせっかく自分用に買おうか悩んでいる男性客は売り場から離れてしまうでしょう。
そこで今の化粧品販売員では男女の差なく「お試しになりますか」と声をかけるようになっているそうです。
これならば化粧に興味がある男性には喜ばれ、プレゼント用に買いに来た方には実際に使用し、試してから購入することができます。
実際に、このような対応をしてくれた販売員のいるお店に対して男性客が強い好感を持ち、それをSNSに投稿したところ、多くの人から販売員に対する賞賛の声があがったということです。
多様性が求められる現代では、このような決めつけがない対応は消費者からますます期待されるでしょう。
広告でも同じで、化粧品の広告に男性芸能人を広告キャラクターとして起用することによって、その企業はジェンダー問題に対して力を入れている企業であるという印象を与えることができるのです。

男性美容系インフルエンサーの増加

コスメ業界の変化の流れに合わせて、企業側の公式広告だけではなく、美容系インフルエンサーの中にも男性が増えてきています。
美容系インフルエンサーというと女性モデルやアイドルなどが多く、男性美容インフルエンサーであっても「LGBTタレント」向けで、美容系インフルエンサーは「女性向け」だという印象があるのではないでしょうか。
しかし現在では、男性やジェンダーレス思考の人に向けたメイク術などを紹介してくれる男性美容系インフルエンサーもいらっしゃるのです。
また、男性でメイクに興味があるのだけれど、どのようなものを買ってどのように使ったらいいか全くわからないという方も多いと思います。
しかも女性と違ってどうしたらいいかを気軽に聞くほど、まだ日本ではメンズメイクの概念は広まっていません。そこで頼りになるのが男性美容系インフルエンサーの存在なのです。
同じ男性目線でメイクの仕方を教えてくれるので、メイクの知識がまだ乏しい初心者の男性でも安心してメイクを楽しむことができます。
メンズコスメこそSNSを利用したマーケティングを
以上のようにこれまで若年層女性をターゲットにしてきたコスメ業界のSNSマーケティングですが、そのターゲット層の幅は時代の流れによって変化してきています。
また、男性に向けてのアピールも、男性を広告塔としたSNSマーケティングが効果的だということが、メンズコスメ市場の動きでわかってきました。
メンズコスメのターゲット層は20代・30代の男性になりますが、この層は他の年代層に比べると、 雑誌やテレビなど従来のマーケティングの中心になる媒体への接触がかなり低いのです。
そこでメンズコスメ市場が目を付けたのがInstagramやTwitterなどのSNSです。ターゲット層が一番長く触れているのが、スマホやタブレットなどの情報系端末だからです。
このように現代では、20代・30代男性が理想とするカッコいい男性俳優などを広告キャラクターとして起用し、現代の魅力的な大人の男性は化粧をするのが当たり前という新常識を作りあげていきつつあります。
従来の考え方で売り込むのではなく新たな考え方を作り、その素晴らしさを消費者にいかに伝えていくかがこれからの企業に求められているのかもしれません。
我々がご提供しておりますインフルエンサーマーケティングプラットフォーム「Maro」もご検討いただけますと幸いでございます。
コメントを残す